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1996年12月 読書ノート
最終更新日:1996/12/25

 ここでは私が読んだ本についての感想を公開しています。本のジャンルは「なんでもあり」です。

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チップス先生さようなら
ヒルトン(新潮文庫)

 なんだか懐かしい感じのする本だった。教師一人の歴史に学校の歴史がオーバーラップしていて、壮大な歴史になっている。この作品の作られ方としては、学校に長くいた先生からでたセリフと言うよりは、学校に感情を持たしたらこんな感じだろうなということから書かれたのではないだろうか。教師というものを主人公としているが、教師と言うよりは長老と言った感じだろうか。そんな感じを受けたのも、書かれ方が一人の歴史ということから書かれていないと感じる要素だろう。イギリスではどうなのか知らないが、日本では教師がこんなに長くいることは絶対にない。とりわけこのチップス先生のような独特の考えを持っているような教師は長期にいることは許されないだろう。僕も同じ教師が同じ学校に長くいることは好ましくないと思うが、この話を楽しく思えるのはなぜなんだろう。
日付:1996/12/25


卵王子カイルロッドの苦難3 愁いは花園の中に
冴木忍(富士見ファンタジア文庫)

 この間で一番衝撃的だったシーンは、パムがザーダックを食うシーンだった。このシーンに挿し絵があるのは非常にわかるが、これだけ衝撃があるのならあえて挿し絵はしてほしくなかった。それからこの巻全体から感じたけれど、伏線が張られるということはあまりなくて、エル・トパックがでてきたことやムルトが干渉してきたことなどの今まで伏線になっていたことがだんだん解けていくという感じを受けた。イルダーナフの言うところに、カイルロッドが強くなるということに「自身が手を汚し墜ちていくこと」を挙げていたがそれには少し納得できない。自分が墜ちるよりも強く人を引き上げることではないだろうか。
日付:1996/12/24


預言者の名前
島田雅彦(新潮文庫)

 この本では、宗教に関する根本部分が批判されているが、人の心を救うという宗教が人と人との争いを呼んでいると言うことや、人を救うと称して金を巻き上げているだけの宗教など僕の思うに当たり前の欠点を批判しているように思う。しかしワタルは、僕の考えと違い信仰者に対して働きかけていくことで宗教をなくしていくことに努めている。僕は、信仰者は信仰を続ければいいと思って関わらないようにしようとしている。それは逃げで良くない事なのかもしれないが、働きかけが争いとなるなら働きかけようとは思はない。
 この本の構成で、共通の登場人物を持っていて主人公の変わっていく書かれ方が楽しいと思う。しかし最後はなんだかとぎれて終わっているような気がする。
日付:1996/12/24


卵王子カイルロッドの苦難2 出会いは嵐の予感
冴木忍(富士見ファンタジア文庫)

 この巻では、主人公たちと蛇との戦いを描いていて、その結末はシャオロンという友と共に蛇が死んでいくという形だった。友の死の悲しさ、友を救えなかった悲しさが、後半主に描かれているが、僕はそれ以上に、人間に虐げられた蛇のつらさや、それに同情しようとも我が身を守るの為にどうしようもない心の苦しさがもっと描かれていていいと感じた。壮大なレベルでの話で、大袈裟になってしまうように思われるのだろうが、それを書かなければ、蛇との戦いは終わらないように思う。それともこの戦いはまだ続くのだろうか。この巻は、一応まとまっているが複線だらけという感じだったので、そうなのかもしれない。
日付:1996/12/20


若きウェルテルの悩み
ゲーテ(新潮文庫)

 この本が、自殺の弁護本だという非難があるようだが僕には到底そうだと思えなかった。恋をすることで自殺をしてしまうのが不幸だとか、自分が人妻に恋をしたことがないから幸福だとか、そういうことでもなく。しかし、ここにはエゴイズムを描いていると決めつけられない。けれど明らかにここに挙げられているのは、ウェルテルの自分へのエゴの確認のように感じる。僕自身は、外面に出せる部分のエゴ・わがままよりも、例えば内面に書く部分(例えば手紙とか)のエゴの方が出すことが難しいと思う。たとえエゴでも手紙という形で、エゴのようなものを出せるウェルテルは、男らしいと思う。
日付:1996/12/14


ゲーテ詩集
ゲーテ(新潮文庫)

 「私がおまえを愛しているかどうか、私は知らない」と始まる歌がとても共感できた。「独り者と小川」というような物語形式の詩は、あまり読まないがこの詩を読んで良い雰囲気だなと感じた。「心やさしき人々に」という詩は、読んでみて力強さと、詠う上での感受性の美しさに惹かれて、自分が詩を書いていく上だけでなく、生きる上での力強い心構えの指針となるように感じた。
 ゲーテの詩は正直言って、魔王ぐらいしか知らなかったけれどこれを読んでみて非常に気に入ったので、またもう一度読めるなら呼んでみようと思う。
日付:1996/12/08




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