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物語はすっぽりと箱に収まる

「物語には『始まり』『展開』『終わり』がある。」

これは、僕が大学生の頃に、
文学研究会でグリム童話を研究していた際に行き着いた、
全ての物語に共通している特徴である。
# この時の研究においては、
# グリム童話の物語における共通した特徴だが

「当たり前」の一言で、片付けられるかもしれない。

が、10年経って改めて考え直してみると、
この特徴は物語をうまく表しているのではないかと思う。


「物語」と対比して、この世と言うものを考えてみると、
『始まり』『展開』『終わり』の3つうち、
『展開』は存在するが、
この世に、『始まり』と『終わり』が存在するかは不確かである。

物語には『始まり』『終わり』があるので、
その繋ぎにあたる『展開』の意味を解釈することが出来る。
つまり、物語にはメッセージ性が存在することになる。

それに対して、この世の『始まり』『終わり』は不確かなので、
その『展開』がどのような意味を持つのかを、
解釈することは困難とならざるを得ない。
つまりこの世の『展開』、日々起こる様々なことに、
どのようなメッセージ性があるのかは、解釈し難い。


そんなこの世に生まれたのが「物語」。

物語には、はっきりと『始まり』と『終わり』が存在する。
それは、すっぽりと箱に収まるようなイメージで。
# 逆にこの世が、すっぽりと箱に収まる様子はイメージしにくい。

ノン・フィクションであればこの世の一部、
フィクションであればこの世を投影した世界の一部、
をすっぽりと箱に収めたものが「物語」。

その箱を覗くことで、
物語の作者による「この世の『展開』」の解釈を知ることが出来る。
それが、作者から読者へのメッセージなのである。

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