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ヒーローとエロス:Hのいたずら

 外国語を勉強しようとすると、どうしても母国語とのギャップに悩んでしまうものです。母国語にない発音に出くわしたり、母国語と同じ(あるいは似た)言葉なのに意味が違ったり、母国語にはない文法・表現があったり、ある表現がなかったり。具体的には日本人にとって英語を学ぶときの、lとrの発音の区別、aの発音の多さ、英語からの外来語と本来の意味のギャップ、youのように二人称の単数と複数が同じ語であったり、進行形や完了形が理解できなかったり、こういったことは外国語を学ぶときに必ずと言っていいほど大きな出会う壁です。英語を学んだことのある日本人なら今まで述べたような問題点に悩んだことがあるでしょう。しかしもちろん、これは英語を学ぶ日本人だけにある問題ではありません。英語以外の外国語を学ぶ日本人にも、英語を学ぶ日本人以外の人にも、もちろん他の外国語を学ぶ他の外国人にもある問題なのです。
 これは私が、あるフランス人女性と英語で会話をしていたときの話です。たしかその時、彼女とはテレビ番組に関する話題で話をしていたと思いますが、彼女は「エロス」に関する番組について僕に話をしてくれました。で、私も「エロス」に関するテレビ番組の話、変な話をするんだなぁとは思いながら、賢明に耳を傾けていました。しかし、なんだか話がかみ合わないのです。で、混乱している様子が見て取れたのか、側にいたイギリス人男性が「何について話しているのか」と問いかけてきたのです。そして、三人でもう一度何について話しているのかを整理したところ、彼女は「ヒーロー」のことを「エロス」と読んでいたのです。そしてそれが僕たちの会話がかみ合わなかった原因だったのです。
 「ヒーロー」と「エロス」を間違えるなど、日本人ならまずしない間違い方だとは思いますが、英語で「ヒーロー」は「hero」、複数は「heroes」で、「エロス」は「Eros」。ところで、ご存じの方も多いかとは思いますがフランス語では語頭の「H」は発音しません。つまり「hero」を強引にフランス語読みすると「エロ」に、それに複数形を表す「S」をつけて「エロス」というわけです。
 ここにこんな事を書いたのは、別に彼女を馬鹿にするためではありません。みんな外国語を学ぶのは苦労しているんだよ、ということが言いたいのです。なんだか多くの日本人は被害妄想が激しいのか知りませんが、日本人であるがために英語を習得するのが難しいと思っているようなので。まぁ僕自身も、こんな偉そうなことを言いながら、英語を学びながら失敗したり苦労したりの連続で、その割には全然英語力が付いて無かったりしてます。まぁ、後ろ向きにならずにみんなで頑張って外国語を学びましょう。

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